HOME > 鍼灸施術をお受けの方へ > 症状・疾患別

気になる症状や疾患に対して期待できる鍼灸治療の効果

※鍼灸治療による効果を保証するものではありません。

慢性痛

概 要

 痛みは様々な要因で生じるため、原因が明確にわからない、また痛みの原因が明確でも普通より強く、広く痛みを感じることがあります。このように、原因がよくわからずに長時間続いている痛みを総称して慢性痛と呼んでいます。慢性痛を生じる疾患には、関節リウマチ、線維筋痛症、帯状疱疹後神経津、三叉神経痛、CRPSなど様々なものがありますが、変形性関節症や腰痛症のような整形外科的な疾患でもよく認められます。なお、慢性的な痛みは女性で多く訴える傾向があることから、ホルモンや生活習慣、ストレスとの関係も指摘されていますが、近年では脊髄や脳で痛みが記憶されたり、認知されたことで痛みが慢性化することが知られています。

期待できる鍼灸治療効果

 慢性痛の鍼灸治療では、痛みの治療は勿論のこと、不眠や、手や足の冷え、便通異常など多くの症状が存在することから、痛みだけでなく、痛み以外の症状に対しても治療を行っていきます。痛みが軽減するには週1回の治療で3ヶ月から半年程度の期間が必要なことが多いとされていますが、痛みの程度や罹病期間により様々です。また、痛みの改善よりも、痛み以外の症状が先に軽減し、最終的に痛みが改善することが多いのも特徴です。なお、痛みがなかなか改善しない場合は、鍼灸治療に加えて認知行動療法やセルフケアなどを加えながら治療を行います。

セルフケア

 痛みの治療では、痛みへの理解、運動、考え方の3つが重要です。痛みへの理解とは、自分の痛みがどのような時に増強し、どのような時に軽減するのかを知ることです。そのためには、痛み日記を活用して、痛みの強さと生活習慣やイベント、思考パターンとの関係を理解します。運動は有酸素運動を30分程度進めるものが多いですが、安静が1番良くないことから、簡単なストレッチやラジオ体操など、身体を動かすことが大切とされています。考え方に関しては、痛みが強いときは視野が狭くなっていることが多いことから、物事に対して複数の選択肢を持つことが大切です。また、悩みを溜め込まない工夫も必要です。 


線維筋痛症

概 要

 線維筋痛症(fibromyalgia)は全身性の痛みに加え、こわばり、疲労感などを主訴とする疾患です。また、痛み以外にも、睡眠障害や過敏性腸炎、しびれ感、頭痛などの自律神経症状をはじめ、様々な随伴症状が見られるのも特徴です。なお、線維筋痛症は全身の各部位に18カ所の特定の部位に圧痛がある以外に検査所見に異常がないことから、原因不明の痛みとして取り扱われることが多いようです。なお、線維筋痛症は、変形性の疾患や膠原病、さらには慢性疲労症候群や更年期障害、うつなど精神疾患などと疾患と間違って診断されていることが多いようです。

期待できる鍼灸治療効果

 鍼灸治療は、線維筋痛症の症状に対して効果的な治療法と考えられており、ガイドラインでは推奨度はBです。痛みの程度や罹病年数により異なりますが、週1~2回の頻度で6~12回程度の鍼灸治療で、痛みだけでなく倦怠感・不眠・便通異などが改善することが報告されています。しかし、うつ傾向が認められたり、愁訴が多い場合は治療効果が見られにくい傾向にあることから、鍼灸治療に加えて認知行動療法やセルフケアなどを加えながら治療を行います。

セルフケア

 痛みの治療では、痛みへの理解、運動、考え方の3つが重要です。痛みへの理解とは、自分の痛みがどのような時に増強し、どのような時に軽減するのかを知ることです。そのためには、痛み日記を活用して、痛みの強さと生活習慣やイベント、思考パターンとの関係を理解します。 
 運動は有酸素運動を30分程度進めるものが多いですが、安静が1番良くないことから、簡単なストレッチやラジオ体操など、身体を動かすことが大切とされています。
 考え方に関しては、痛みが強いときは視野が狭くなっていることが多いことから、物事に対して複数の選択肢を持つことが大切です。また、悩みを溜め込まない工夫も必要です。


月経困難症(月経痛・生理痛)

概 要

 月経困難症(月経痛・生理痛)とは、月経直前または月経開始とともに、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛などが強く出現し、寝込んでしまうなど日常生活に支障をきたす場合をいいます。月経困難症は、目にみえるはっきりとした異常がないのに痛みが起こる機能性月経困難症と、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮奇形など目にみえるはっきりとした異常があって起こる続発性月経困難症に分類されます。月経困難症のうち、機能性月経困難症が最も多いといわれています。機能性月経困難症は、プロスタグランジンという物質によって引き起こされます。プロスタグランジンが過剰に分泌されると、子宮の収縮が強くなり、痛みが増すこととなります。

期待できる鍼灸治療効果

 機能性・続発性月経困難症のいずれにおいても、鍼灸治療により下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛などの軽減が得られますが、機能性月経困難症のほうが効果は高いといわれています。また、月経中の痛みが強いときの治療も有効でありますが、あらかじめ予防的に治療を行うことで痛みに対する不安感を消失させ、それが痛みを和らげることもあります。月経は月に1度しかなく、はっきりとした治療効果が現れるまでには3ヶ月ほどかかりますので、鍼灸治療は1~2週間に1度の割合で、3ヶ月(1クール)ほど継続することをオススメします。

セルフケア

① 体を温める:下腹部や腰にひざ掛けや毛布をかけたり、カイロをあてるなどして、子宮や腰まわりを温め、血行をよくしましょう。夏は、冷房で冷えすぎないようにお湯 につかって全身を温めましょう。
② 適度な運動、ストレスの解消:体を動かすことで全身の血行がよくなり、またストレスの発散にも効果的です。日頃からストレスを溜めないよう、自分なりのストレス解消法を持ち、リラクゼーションをはかりましょう。月経痛がひどいときは、激しい運動は避けましょう。
③ 鎮痛薬を利用する:我慢すれば良いというわけではないので、あまりにも痛みがひどい場合は、本格的に月経痛が起こる前に服用するとよいでしょう。そうすることで、少ない鎮痛薬の利用ですむこともあります。
④ ツボ療法:三陰交穴(内くるぶしの上指4本分上で、骨のきわ)へのツボ押しやお灸を 行うとよいでしょう。


逆 子

概 要

 逆子とは、子宮内で赤ちゃんの頭が下ではなく、上を向いている状態をいいます。大体、妊娠28週ころから逆子かどうかわかります。通常、妊娠後期になってくると、赤ちゃんの頭は産道を通り抜けるために子宮口のほうを向いてきますが、何らかの理由で頭が上を向いている場合は自然分娩が難しくなり、帝王切開による出産が選択されることがあります。第1子を帝王切開で分娩した場合、高い頻度で第2子以降も帝王切開となります。

期待できる鍼灸治療効果

 逆子は妊娠28週頃からわかりますので、28週から34週頃までの時期に鍼灸治療を開始するのが効果的です。至陰穴(足の小指の爪のすぐ外側)や三陰交穴(内くるぶしの上指4本分上で、骨のきわ)へのお灸などを行います。妊娠週数が大きくなるにつれ、赤ちゃんも大きくなり、その分、矯正されにくくなりますので、早めの鍼灸治療がオススメです。

セルフケア

①  姿勢を正す:妊娠後期になるとおなかがせりだすので、どうしても猫背になりがち。この姿勢は、腰痛、肩こりになりやすいだけでなく、赤ちゃんの環境も窮屈な状態となり、動きたくても動けなくなります。胸を張るのではなく、少しあごを引く程度で姿勢を正しましょう。
②  逆子体操:逆子体操は近年、効果がないという見解もありますが、試してみてもよいでしょう。ただし、ご自身の体調をみながら、無理のない範囲で行うのがよいでしょう。
③お灸:至陰穴や三陰交穴に台座灸を行うと良いです。お腹が大きくなると、やり辛さが出てきたり、ツボがずれたりすることなどもありますので、当院にお気軽にご相談ください。


しびれ

概 要

 しびれとは痛み以外の異常感覚を指し、『ビリビリ』『ピリピリ』『ジンジン』など多様な感じ方があり、知覚低下(触った感覚が鈍い)や運動麻痺などを伴うこともあります。しびれの原因は中枢神経系(脳、脊髄)の異常と末梢神経障害に起因するものとに大別されますが、多くは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、絞扼神経障害(手根管症候群、胸郭出口症候群など)をはじめ、糖尿病などの代謝異常、免疫力の低下によるウイルス感染などを含めた末梢神経障害によるものです。しびれの原因は未だ明確ではなく、痛みと同時に起こることも少なくありませんが、痛みと比べると残存しやすく、長期化する傾向にあります。

期待できる鍼灸治療効果

 しびれの原因は明確ではありませんが、末梢神経障害によるしびれに関してはその1つに、末梢神経血流の低下が考えられており、循環系への影響を考慮した鍼灸治療が奏功する研究結果が複数示されています。末梢神経障害については障害の程度によって治療法が異なり、高度な障害に対しては末梢神経の再生を促す治療法が適応となります。

セルフケア

※原因によって異なりますので、受診時にお尋ね下さい。


腰 痛

概 要

 腰痛の原因は多岐に亘り、内臓の異常に由来するものや心理的要因が強く関与している場合など様々ですが、多くは腰椎の退行変性(加齢による変化)を基盤として起こります。腰椎(脊椎)は身体を支持しながら動かすという、相反する機能を担っています。そのため、退行性変性が生じやすく、その異常が症状として現れやすい部位と言えます。また、症状が慢性化し、悩まされることも少なくありません。さらに、変性過程の中で、些細な外力(負担)がきっかけとなって急性腰痛(急に腰痛が増悪すること:ギックリ腰)を発症することが度々あり、社会生活を送る上で大きな悩みとなります。

期待できる鍼灸治療効果

 症状の原因となっている神経に直接的または間接的に鍼灸刺激を与えることによって症状(急性・慢性)を緩解へと導きます。また、これまでの臨床試験の結果から、強い症状が改善した後も定期的に鍼灸治療を継続することによって、急性腰痛や腰痛の慢性化を予防できる可能性が示されています。

セルフケア

① 長時間の同一姿勢の回避
② 不良姿勢を避ける
③ 体幹、下肢(脚)の筋力トレーニング
④ 体幹、下肢(脚)のストレッチ
 ※症状によって異なりますので、受診時にお尋ね下さい。


膝 痛

概 要

 膝痛の原因には、外傷性(スポーツ外傷や事故など)、使い過ぎ(スポーツ障害など)、退行変性(加齢による変化)などが挙げられます。外傷性のものとしては、半月板や靭帯の損傷などがあり、発症機転(痛みが起こったきっかけ)がはっきりしているのが特徴です。また、スポーツ活動などでの使い過ぎによって靭帯や腱、軟骨などの組織に炎症が生じ、痛みが出現する場合もあります。このような外傷や障害は、退行変性を加速させ、軟骨、骨のほか、半月板や靭帯などを含めた組織の不可逆性の変化(変形性膝関節症など)を引き起こします。使い過ぎが原因の場合は、違和感が起こってから徐々に痛みに変化し、悪化するケースがほとんどで、思い当たるスポーツ活動などを行っている若年層(特に成長期)に多いのが特徴です。変形性膝関節症に代表される退行変性疾患は、違和感や軽度の痛みが徐々に悪化する点は使い過ぎによる障害と類似しますが、発症年齢は中年期以降であり、特に高齢者に多く見られます。

期待できる鍼灸治療効果

 鍼灸治療によって、損傷した組織の循環系に影響を与え、組織の修復を促すと同時に、損傷・変性による疼痛に対する抑制効果が期待できます。また、組織の損傷・変性や痛みによって生じた関節の可動域制限を改善させ、痛みや可動域制限によって起こった筋の過緊張状態を緩和します。

セルフケア

(外傷、使い過ぎ)
① 原因となるスポーツ活動などを休止、または活動内容(方法)の変更
② 患部の安静、冷却、圧迫、挙上(急性期)
③ 回復過程に合わせたトレーニング
 
(退行変性)
① 体重コントロール
② 杖の使用
③ 下肢(脚)の筋力トレーニング
④ 下肢(脚)のストレッチ
 ※症状、状態によって異なりますので、受診時にお尋ね下さい。


頚肩部のこり

概 要

 “こり”という症状は人から指摘されるものではなく、痛みやしびれと同様に自身が感じる感覚の1つです。頚肩部のこり感、いわゆる“肩こり”の要因は様々あり、異常姿勢やストレスなどが症状を悪化させていることも少なくありませんが、成人の肩こりについては、頚椎の退行変性(年齢とともに生じる変化)が基盤にあることがほとんどです。頚椎の退行変性は20歳頃から徐々に始まるとされており、変性によって支配神経が刺激される結果、頚肩部の痛みや筋の過緊張とともに“こり”が現れるものと考えられます。また、神経支配の関係で、肩こりと同時に頭痛や眼精疲労などが起こることもあります。

期待できる鍼灸治療効果

 鍼灸治療は、症状の原因となっている神経に直接的または間接的に刺激をすることによって“こり”を感じている筋に作用し、症状を緩解へと導きます。特に、鍼治療は身体の深部への直接的な刺激が可能であり、臨床試験において“こり”の原因となっている深部に存在する筋まで鍼を刺入することにより高い治療効果が得られる可能性が示されています。

セルフケア

① 同一姿勢で長時間作業(デスクワークなど)をしない
② 不良姿勢を避ける
③ 頸椎の弯曲に合わせた枕で寝る
④ 肩甲帯筋のストレッチ
⑤ 肩甲帯筋の筋力トレーニング
 ※症状、状態によって異なりますので、受診時にお尋ね下さい。


頭 痛

概 要

 日常的に感じる頭痛には、大きく分けて2つの種類があります。一つは片頭痛で、もう一つは緊張型頭痛です。 片頭痛は頭部の血管が拡張し、炎症を起こして痛みが生じるものです。ズキズキと脈打つような痛みで、光や音、匂いに敏感になったり、場合によっては吐き気などを伴います。緊張型頭痛は首や肩の凝りに伴って頭まで痛くなるもので、締め付けられるような痛みを感じる場合があります。また、この2つが混合するケースも少なくありません。

期待できる鍼灸治療効果

 頭痛に対する鍼灸治療の効果は国内外の多くの研究で明らかにされています。片頭痛であれば、頭痛の起こる頻度が減少するとされており、緊張型頭痛では痛みの程度そのものが軽くなることが明らかになっています。

セルフケア

片頭痛に関しては、休息が最善ですが、それ以外には① こめかみを押す② こめかみを冷やすなどがお勧めです。
特に②の冷やすは、冷やすことによって炎症を抑えることが出来ます。
緊張型頭痛に関しては、
① 姿勢に気を付け、猫背にならないようにする。
② パソコン作業やスマホを見るときは、画面に顔を近づけすぎないようにする。
③ 適度な運動を心がけ、体をほぐすようにする。
がお勧めです。
いずれの頭痛も、適度に休息し、まず起こらないように予防していくことが重要です。

※鍼灸治療による効果を保証するものではありません。

明治国際医療大学
ミュトス361
京都駅前鍼灸院
統合医療センター
明治国際医療大学付属病院
明治東洋医学院専門学校
統合医療センター